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心理占星学入門 第3章 「12星座」 12星座の区分

12星座、螺旋状の魂の旅

 前章でもお話しましたように、黄道12宮と言われる12の星座はゾーデイアック(黄道獣帯)を12等分に分けた空間です。宇宙には12の異なる色合いの空間が存在する、と考えてもよいでしょうか。虹の七色に、良い色や悪い色がないように、12星座にも、よしあし運不運はありません。ただ色合いが違うだけなのです。

 さらに言うなら、この牡羊座に始まり魚座で終わる360度の黄道12星座は、この世に生まれ落ちた魂の螺旋状の成長プロセスを物語ります。各星座は、旅の途上でスポット・ライトが当たる取組み課題を表したものです。ですから太陽のある星座は、その人が人生で与えられたテーマ。そしてそれが実践できた時の究極の自画像を表します。

黄道12星座

1番目:春分点から始まる牡羊座
サバイバルの旅の始まり。世の荒波に踏み出す第一歩。
2番目:牡牛座
衣食住満ちたりた安全な環境の確保と、持てる天分の発掘。
3番目:双子座
見る、聞く、知ることを通して、考える力を身につける。
4番目:夏至点から始まる蟹座
愛し愛され、育むこと。安らぎのオアシスの確立。
5番目:獅子座
魂が鼓舞されるようなドラマをクリエイトする。
6番目:乙女座
この世で役に立つ何者かになるための技能を磨く。
7番目:秋分点から始まる天秤座:
他人と協力関係を築く。そして人を写し鏡にして多面的に自分を知る。
8番目:蠍座
天秤座の社交的な場から一歩退き、心の奥に潜む闇や偽善を深く洞察する。
9番目:射手座
知識を知恵に変えて、人生の霊的な意義をつかむ。
10番目:冬至点から始まる山羊座:
射手座で得た霊的なビジョンに基づいて、この世で機能するものを形作る。
11番目:水瓶座
山羊座で築いたものを、よりよい世界の実現に振り向けて貢献。
12番目:魚座
この世での旅を終え、神の家に還る一歩手前の段階。個人の小さな欲を手放して、神の意志に身をゆだねる。

 この12星座を勉強する時のポイントです。私も初めて占星学教室に通い出した20代の頃によくやりましたが、たいていの人がまず自分の星座を読む。次に父親、母親、弟といった家族の星座を面白がって読む。そして同僚や友達の星座と読み進む。
本には15ページ牡羊座、33ページ獅子座なんて目次が出ていますから、目次をみながら行き当たりばったりの行きつ戻りつで、デジタル式に各星座を見ると、12宮は全体としての意味を持ったものになりません。星座の前後のつながりをよく把握すること。暗記ではなく、全体の流れを自分なりにつかみ理解することが大事ですね。

「1」 二区分

 12星座は幾通りかの分け方ができますが、まず二極分化を表す二区分から。
但し、あくまでおよそこの世に存在する二つの対比を象徴的に表すもので、短絡的に男性星座は荒っぽく、女性星座は女々しいという意味ではありません。

2区分、男性星座と女性星座、YNAG and YIN

★男性星座:牡羊座、双子座、獅子座、天秤座、射手座、水瓶座
昼、太陽、男性、陽、磁石のプラスに象徴される能動性。一歩前に踏み出す力や意志の力を表す星座。

★女性星座:牡牛座、蟹座、乙女座、蠍座、山羊座、魚座
夜、月、女性、陰、磁石のマイナスに象徴される受動性。受け入れる、察する能力を象徴する星座。

「2」 三区分

 12星座は春分点、夏至点、秋分点、冬至点から始まる四つの星座を起点にして、三つに分類することもできます。

3区分、活動、不動、柔軟星座

★活動星座、カーデイナル・サイン(CARDINAL SIGHNS)
牡羊座、蟹座、天秤座、山羊座
春分点、夏至点、秋分点、冬至点の四つの点、つまり四季の始まりに対応する星座。動き回るという意味ではなく、始まりに象徴される性質、物事を立ち上げる力を物語ります。

★不動星座、フィックス・サイン (FIXED SIGHNS)
牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座
活動星座に続く空間。動きが鈍いという意味でなく、視点や観点を固める、定める性質を表します。

★柔軟星座、ミュータブル・サイン (MUTABLE SIGHNS)
双子座、乙女座、射手座、魚座
春分点、夏至点、秋分点、冬至点に代表される、次の季節に移り行こうとする空間。移り変わろうとする季節のような変動性、柔軟性が象徴されます。

「3」 パーソナル、ソーシャル、コレクテイブ・サイン
(PERSONAL SOCIAL COLLECTIVE SIGHNS)

12星座は、パーソナル、ソーシャル、コレクテイブの三つにわけることもできます。

パーソナル、ソーシャル、コレクテイブ(又はユニヴァーサル)の星座

★パーソナル・サイン:牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、(最初の4星座)
この空間は、人の意向を交えない、あくまで個人の成長過程がテーマになります。
ですから主語は全て「私」“I”となります。

牡羊座:「私が」したい。行きたい。
牡牛座:「私が」持てる資源を確保したい。
双子座:「私が」見たい、聞きたい、知りたい。そして考えたい。
蟹座:「私が」感情的に守り守られたい。愛し愛されたい。

★ソーシャル・サイン:獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、(パーソナルに続く4星座)
次の空間は、人との交わりの中で自分を多角的に観て再発見。そして磨きをかけることが課題となります。
主語は「私」から、「私達」“WE” に変わります。

獅子座:「私達は」エキサイトしてドラマをクリエイトする。
乙女座:「私達は」世に役立つように、技能を磨き貢献する。
天秤座:「私達は」協力して、美しく均衡のとれたものを創り上げる。
蠍座:「私達は」闇に向かい、世の偽善を見抜き、隠された悪をあばき出す。

★コレクテイブ・サイン:射手座、山羊座、水瓶座、魚座 (最後の4星座)
最後の空間は、よりよい世界や未来のために、自分も一役買って出たいという普遍的な願いが主題になります。
主語は「私達」から「彼ら」“THEY”つまり自分と直接かかわりのない不特定多数の人間、「未来の子供達は」「社会は」「世界は」「地球は」といったものに変わります。
関心事は個人のお茶の間ではなく、広く世界で起こっていることに振り向けられます。

射手座:「世界は」学問と哲学を支えとして、希望に向かって進むべきだ。
山羊座:「社会は」秩序をもって潤滑に機能するべきだ。
水瓶座:「地球は」民族の垣根を越えて、より良いプラネットに発展すべきだ。
魚座:「人類は」神の意思を信じて、神に身をゆだねるべきだ。

誤解のないように付け加えますが、パーソナル・サインは未熟で、コレクテイブ・
サインが高尚というわけでは決してありません。星座によってスポット・ライトが当たる
テーマが違うと考えてください。

「4」 四区分、4つのエレメント

4区分、地水火風

①エレメントの循環
火、地、風、水の4つのエレメントは、ホロスコープを見る上で大事なポイントです。
まず簡単に各エレメントの紹介から。

火の星座:牡羊座、獅子座、射手座
神の啓示のような直観の閃きを司る星座。

地の星座:牡牛座、乙女座、山羊座

五感の感覚(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)を象徴する星座。

風の星座:双子座、天秤座、水瓶座

風は音、人の声、つまり人の考えを運ぶことから、思考の働きを表す星座。

水の星座:蟹座、蠍座、魚座

水のように流れいく感情の働きを司る星座。

 12の星座は目に見えた五感の世界を象徴する「地の星座」から始まるのではなく、「火
の星座」から始まることに注目!この宇宙に存在する全てのものは、アニマムンデイ(ANIMAMUNDI, 宇宙霊魂)を起源として生かされている、という哲学観を基づいた概念。ですから生きとし生ける全てのものは、元をたどれば「火の星座」が象徴する「宇宙の神なる根源」にいきつくことになります。

 そして、アニマムンデイがこの世に形をとって現われた段階を表すのが、2番目の「地の星座」。 老いや寿命、人種による髪、目、肌の色の違いなど、ありとあらゆる意味でのこの世の限界を引き受けた上での、目に見えた取り組みに焦点が絞られます。そして五感の世界で機能するものを築き上げることがテーマに。

 3番目は「風の星座」です。2番目の「地の星座」で形作られたものを考察するステージに入ります。例えば、政治にしても、構築されレールに乗せられたシステムが、果たして多くの人にとって公平かつ有意義に働くかどうか?といったことを、私情を交えず客観的に考える力を表します。

 最後が「水の星座」です。前の「風の星座」で掲げられた理念は、人の心に訴えかけるものでなければ、ただの空論で終わってしまします。または理屈が独り歩きすると、実際には多くの人を幸せにしない、きゅうくつなものに変わってしまします。最終的に問われるのは、「水の星座」が象徴する、人の悲しみや辛さを思いやる慈悲の心。
ここで4つのエレメントは一つのプロセスを終え、次の「火、地、風、水」のサイクルへと入っていきます。

②対角のエレメント
火、地、風、水の4つのエレメントは、ホロスコープを見る上で大事なポイントです。

対角のエレメント

 火から地、地から風、風から水というバトンタッチが大切な4つのエレメントですが、同じく大事なポイントが「対角のエレメント」。通常、対角の機能は同時には働かないと言われます。
つまり「火の星座」に象徴される神の啓示のような閃きやビジョンに導かれて、ものごとを決断する時には、対角の「地の星座」の機能、つまり五感の世界での限界や経験に基づく判断力はお休み状態になります。逆もまたしかりです。
そして「風の星座」に代表される客観的な観察力を基に、マインドが働いている時は、「水の星座」の感情の働きは停止状態に。「かわいそう。」「好きだから。」といった情の世界は常に主観によって流されるからです。逆もまた同じです。「水」の感情が活性化している時は、「風」の思考の働きはストップします。

「1個のリンゴ」

ここで単純な例に沿ってもう少しわかりやすく説明しましょう。
ただの何の変哲もないリンゴですが、これを見て連想することは人様々です。

★「火の星座」

「聖書でイブが蛇にそそのかされてリンゴを食べて、アダムとイブはエデンの園を追放されたなあ。そう言えば、“不和のリンゴ”という話がギリシア神話にあったな。それを題材にした絵もあるわ。そうだ!ロンドンのナショナル・ギャラリーに絵を見に行きたい!イギリスには1回も行ったことがないの。航空券を予約しよう!」

 といった具合です。他人から見れば何の脈絡もない奇想天外な発想ですが、本人の中では1個のリンゴからロンドン旅行に至る回路が、ちゃんとあるのです。そしてお金がなくても、天の配剤でなんとかなると考えます。信念、岩をも貫くと言いますが、信じる気持ちに疑いを持たないので、その通りなんとかなることが多いようです。

 この「火のエレメント」が健全に育っていないと、生きる希望や活力が弱まります。「死にたい。」という辛さと「生きていても意味がない。」という空虚感は違います。死にたいほどの辛さは事情が変われば変わりますが、漠然とした虚無感は人生をドンヨリと雲のように覆いつくし、日々の暮らしは砂を噛むような味気ないものになってしまします。
火の活力は、外側からの刺激では得ることができません。自分の中から「人生の意義をみつける力」「哲学する力」を生み出すことがテーマに。

★「地の星座」

 「リンゴを使ったお料理にどんなレシピがあるのかしら?アップル・パイは作ったことがあるけど、タルト・タタンは作ったことがないの。作り方を調べて今度、作ってみるわ。それからリンゴにはどういう効能があるのかしら。へえ、消化不良の時に食べると消化を促進させる働きがあるのね。」

 「地の星座」の持ち場は、この五感の世界で実際に役立つ知識や技能の習得です。
そして関心を持ったことはたいてい実践します。「作りもしないのに、作り方だけ聞いても意味がないじゃない。」というのが、「地の星座」の言い分です。

 そしてこの「地のエレメント」が、ないがしろにされると、五感の感覚との接触が稀薄になりがち。仕事を始めると寝食を忘れる。お金に対して罪悪感を抱く。といった具合です。お金もこの世で機能する一種のエネルギーの形態ですね。あるいは五感の世界とうまくお付き合いできない苦手意識が裏返しになって、妙にお金に執着したり、ダイエットや健康食品に熱中したり、アンバランスな形で表面で出ることが多いようです。
まず、眠る、食べる、お金を得て使う、といった五感で味わう生活を、おろそかにせず、恐れず、嫌悪せず、大地の恵みへの喜びの気持ちを持って日々暮らすことが課題になるでしょう。

★「風の星座」



「リンゴにはどんな品種があるのかなあ。どういう気候土壌で育つ?リンゴを使ったデザートってどんな種類がある?リンゴからお酒ってできる?リンゴにまつわる話は?ウイリアム・テル?白雪姫?ニュートンってリンゴが地面に落ちることから重力の法則を発見した人?」

 こういった具合に知的好奇心は四方八方に広がります。で、地の星座と違って、実際には作らなくても、「知識と情報のメモリー・バンク」の蓄えることが、マインドの何よりの活性化につながります。そしてこのメモリー・バンクのデータをベースに、独自の見解を練り上げることがテーマです。

 「風のエレメント」が未発達の場合、論理性を欠いた一貫性のない考えや自分の感情的な発言に、自分も周りも振り回されがち。そして「科学で実証される。」とか「論理的な」という歌い文句に、簡単になびいてしまいます。
本やナントカ教授の受け売りでなく、自分でよく咀嚼して独自の観点を養うことが課題になります。

★「水の星座」

「リンゴを見ると、死んだおばあちゃんを思い出すわ。いつもコタツの中でリンゴの皮をむいてくれて、友達にいじめられたことや、先生にほめられたことをニコニコ聞いてくれたおばあちゃん。いつも慰めてくれたわ。ああ、死んだおばあちゃんにもう一度会いたいなあ。涙が出てくるわ。」

 これも他人からは、リンゴを見てどうして泣くのか支離滅裂に見えるのですが、本人の中では、リンゴが引き金になって何かが心の琴線に触れる。感情が揺さぶられるのです。
体験は、知識や情報ではなく、「感情という名のメモリー・バンク」に蓄えられます。そしてこの感情のメモリー・バンクが本人を動かす目には見えない大きな原動力になります。

 「水のエレメント」が育まれないと、自分の負の感情、つまり怒りやくやしさを表現することを、みっともないと考えがちに。そしてたまりたまった怒りが爆発すると、修復不可能な大ゲンカに発展することも。結果、人との感情の絆を結ぶことが難しくなります。
人間関係はきれいごとではすまない感情の泥試合を通して、互いを許すことを学び、時に「黒を白」と自分にも相手にも言える懐の深さを養うことがテーマに。

 以上、4つのエレメントがバランスよく機能するのが理想ではありますが、なかなかそういうわけにはいきません。まずは自分の得意なエレメントから伸ばしていくことをおすすめします。この得意なエレメントですが、まずホロスコープの2本柱となる太陽と月の入っている星座に注目してください。その上で、太陽から冥王星まで10個の天体それぞれが、どのエレメントの星座にあるか、見ていくことが一つの目安です。

 そして苦手なエレメントを学ぼうとする時、対角エレメントには一直線で一っ跳びには行かないのですね。
例えば「地の星座」に天体が多く、「火の星座」にはゼロ。自分でも生きる意義が見つけられず悶々とするという場合、「風の星座」の客観的な観察力、または「水の星座」が司る人の声なき声を心の耳で聞く感受性、こういったことを意識して身につけて、その上で「火の星座」、つまり表面のよしあしでものごとを観ずに、その背後にある哲学的で霊的な意義を自分で見つけ出す取り組みに向き合うべきです。
あるいは「風の星座」に天体が多く、「水の星座」にはない。自分でも人との感情的な絆を結ぶことが苦手だと感じる。このような場合は、「火の星座」の直観を信じること。または「地の星座」のテーマ、五感の世界とバランスよく付き合うことを学び、その上で「水の世界」が司る、感情表現を練習することになります。

 また対角のエレメントの星座、例えば「火の星座」と「地の星座」の天体の比率が同じぐらいでせめぎ合っている人もたくさんいます。その場合、自分が育った家庭背景を振り返って、どちらのエレメントが活性化して、どちらが抑圧されているか、よく考えてみてください。そして抑圧されていると感じるエレメントを、自分で意識して応援して、伸ばすことです。
で、最終的には双方のエレメントが反目せずに手を取り合えるような天職、ライフスタイルを打ち立てることが目標になります。一生かかる大仕事です。

 最後にもう一つ。ホロスコープの紙の上には書かれていないこと。
ホロスコープを見る上で、お国柄、つまり民族の気質、そして生まれ育った時代も、あなどれないものがあります。
これは私の主観的な意見です。例えば、日本ではノーと言わず静かに人の話を聞く女性は好意的に見られるようですが、これと同じことをヨーロッパ社会でいたしますと「自分の意思を持たないタダのアホだ。」と受け取られがち。つまりお国柄によって模範的とされる振る舞いや気質が変わってくる。伸ばしやすいエレメントが違うということです。
私個人は、日本では特に女性の場合、水と地のエレメントが受け入れられやすいので伸ばしやすい。逆に火と風のエレメントは、なかなか健全にスクスクと育てにくいように思います。残念ながら自分を取り巻く環境が、自分の太陽、月星座のエレメントの性質にそぐわないと感じる人、ガッカリせずに、大人になってそのことに気付いた今、「自分は一段高いハードルにチャレンジしているのだ。」と受け止めて、本来の自分を曲げることなく伸ばす努力をしてください。