2015年 年度英国占星学協会年次大会レポート
2015年9月11日から14日まで、毎年恒例の英国占星学協会年次大会がケンブリッジの近くで開催されました。
モダン・アストロロジーの先駆者、アラン・レオが、”アストロロジカル・ロッジ”
(The Astrological Lodge of London)を1915年に設立して、今年はちょうど百年目にあたる記念すべき大会でもありました。
なお、今大会の報告も兼ねて、
2015年11月14日(土)日本時間の午後8時から10時まで。
「占星学オンライン無料オープンデー」を開催!
どなたでもご参加頂けます。
詳しくは、セミナーページをご覧ください。
そして昨年に引き続き、ロンドンのファカルテイー(The Faculty of Astrological Studies)で占星学の造詣を深めていらっしゃる大志田寛子さんがレポートを書いて下さいました。
ぜひご一読ください。
2015年度英国占星学協会年次大会に参加して
大志田寛子
去る2015年9月11日から13日まで、英国占星学協会年次大会に参加してきました。今年のテーマは「APPRECIATING THE PAST AND CREATING OUR FUTURE(過去に感謝し、未来を創る)」ということで、これまでのスタイルをキープしながら、14日にはアメリカのISARの協力の元、新しくワークショップを設けるという試みも。参加するのも二回目だし、フルに楽しむ大会にしよう!というスタンスで、金曜日の午後早めに会場であるワイボストンレイクに到着です。1年ぶりですが、会場に入るとすぐに、去年参加したときのことが昨日のように思い出されます。早めに会場入りすると、会場設営の様子なども見れるのが楽しいところ。占星学の本を販売している本屋さんも来ているのですが、段ボールが次から次へと運ばれ、開けられ、本が陳列され、、、無料でサービスされるお茶とクッキーをいただき、そんな様子をチラチラ伺っているうちに、いよいよ始まるんだなぁ!という気持ちがどんどん高ぶります。
宿泊も早めに申し込めば、会場とつながっている棟に泊まることができます。会場から歩いて数分なので、いったん部屋へ戻ってから金曜日のプレナリー(全体講義)を聞きに会場へ戻ると、すでに人・人・人!去年見た顔、初めて見る人、でもみんな占星学でつながっているんだ!と思うと、国境を越えた何かを感じてワクワクします。そこでウロウロしていると、見知らぬ人から「ハイ、何座?」なんてことを聞かれることも。そうこうしているうちに、オープニングのプレナリーが始まります。アメリカ人のリー・レーマンと、イギリス人のクレア・チャンドラーお二人が今年のプレナリーを務めましたが、クレア・チャンドラーの「占星学者の持つ言葉のパワー、でも、私たちはひとつの部分を見ただけでは全てを見ることはできない」という言葉、占星学のチャート読みをするには欠かせない意識、、と、今一度心に刻み直さねば、と改めて思いました。
翌日の土曜日は朝からセミナーです。ここで私は、サッカーを扱うというアラン・エアのセミナーをチョイスしました。サッカーはチームで行う競技なので、スタープレイヤーがいないチームでも勝利を収めることがある!という定義に基づき、印象深い勝利を収めたチームの分析から入ります。そうすると驚くべきことに、その勝利ごとにバランスが必ずあるのだとわかりました。ひたすら感心していると、なんとなでしこジャパンの分析も登場です!アラン・エアによると、「木星がしし座にいた2015年のW杯では、なでしこジャパンは、しし座と蟹座に重点をおいたアメリカに敗れてしまった」私たちが一喜一憂している裏にこんなことがあったとは、、と驚愕しかありません。大のサッカー好きというアラン・エアが「なでしこジャパンは良いチームだよね」と言ってくれたのが、日本人的に嬉しくなる土曜の朝でした。
次はスコットランドにルーツを持つシェイラ・ハリソンの「過去は未来へのパスポート」というセミナーへ。内容は家系5代にわたる壮大な星の物語。「家族では必ず共通点がある」、こういったことはユキコさんのオンラインセミナーでも学びますが、実際のチャートを出して紹介されると、すごい!しか言えません。家系を探るきっかけとなったスカーフも実物を見せてもらえましたが、100年以上昔の品物が現代で「きっかけ」を生みだし、なおかつイキイキとこの世で輝いている。なんだか目頭が熱くなる瞬間でした。
お昼の前には、日本で講義を受けたことのあるブライアン・クラークによるサテライトプレナリー。テーマは「昼と夜」です。ブライアン・クラークの資料はうっとりするくらいに美しいものが多く、音楽のようにその世界観に引き込まれていきます。ブライアン・クラークは夢と占星学の関連についても研究していますが、「夢は魂からの手紙。占星学は宇宙とのコミュニケーション」と紹介していました。この言葉だけで、彼の世界観は十分に表現できるのではないかなぁ、と思います。
午後はアストロロジカル・ロッジの代表によるプレナリーの後、キャサリーン・ブラックレッジによるウィリアム・リリーの残した功績についてのセミナーへ。恥ずかしながらクリスチャン・アストロロジー(リリーの残した研究書)をまだ読んだことはないので、そのステップになれば、、と知識を学びに参加しました。彼女自身はサイエンティストでもある、とのこと。このように違う職業を持ちながら(彼女は文筆家でもあります。才色兼備な女性でした)占星学を研究されていることを知るのは、なんだか励みになります。
さて、土曜の夜はお待ちかねの仮装パーティです!「仮装ドレスコード:エドワーディアン(イギリスでエドワード7世が国王の時代、1901〜1910年頃のファッション)」ということで、会場につくと、すでにドレスアップした人たちが注目を集めていました。ディナー中にコンテストが行われますが、今年は「女性に参政権を!」というタスキをかけたグレーのドレスの女性にお祝いのシャンペンが。そうか、そういった時代の頃なのか〜と皆さんとの会食で学びながら、会話を楽しみ、夜はあっという間に過ぎていきました。
日曜日はゆっくりと過ごそう、と、思いつつも、朝からニコラス・キャンピオンのセミナーへ。「西洋占星学から派生して、伝統的、心理学的、、様々なものがあるけれど、星の影響というものは外部からやってきて、それを自分がマインドへの影響へつなげることでもある。」この解釈は人により様々ではないだろうかと思いますが、私はこれを前向きに受け入れることなのではないかな、と考えます。せっかくですから、頭上に輝く星たちとはいい関係を築きたいものです。
続いては「第8室の秘密」という、ポーランド人の占星学者イザベラ・ポドラスカ・コンケルのセミナーに参加します。「第8室ってセクシャルなことだけじゃないのよ」という彼女の言葉は、わかりやすくておもしろい!夢中でノートを取り続け、一時間後には第8室について今までの印象から、部屋の本質に一歩近づけた気がしましたし、何より自分のチャート読みのハウスシステムについて答えが出せたセミナーとなったので、私にとっては今回の年次大会での最高のセミナーになったと思います。
午後は日本でも有名なマギー・ハイドのセミナーへ。なんだか可愛らしい女性で、お話もとってもおもしろく、最後にはメラニー・レインハートも加わってトークを繰り広げていました。そうこうしているうちに、ラストが近づいてきます。個人セミナーのラストとして選んだのは、再びアラン・エアのサッカー分析!今度はスタープレイヤーをメインに扱います。監督や場所との相性から分析した結果の数々は、資料にするととんでもない数になるのではないでしょうか?プレミア・リーグ(イングランド&ウェールズのサッカー一部リーグ)とドイツでの選手の太陽星座の割合から導くプレースタイルなど、興味深いものばかりです。ちなみにプレミア・リーグでは蟹座が一番少ないそうですが、あのメッシは蟹座(リーガ・エスパニョーラですが)!サッカーと占星学が好きな方はぜひ一度彼の作品に触れてみることをお勧めします。
そしてあっという間にクロージングプラネリーです。ユキコさんの先生の一人でもある、ダービー・コステロさんによる「射手座の土星」。アート作品などふんだんに散りばめられた資料は、見ているだけで飽きることもありません。ダービーさんがロンドンのV&Aで偶然見つけたという、「射手座が山羊座を射る」シーンが彫られたクシ。貴重な発見をシェアしてくださり、ありがたいばかりです。
あっちのセミナー、こっちのセミナーと走り回っているうちに、あっという間に大会は終了です。今年はアメリカから来ていた占星学者の方ともお話したりと様々な方と交流でき、日本人参加者も鏡リュウジさんを初め、三人いらっしゃいました。今年も思ったのは、言葉の壁はあれど、興味があるとそれを超えたものを学べる瞬間があるということ。私自身英語で?となるシーンは多いけれど、それでも何かをきっかけに伝わってくる瞬間があるということです。水星マジックというか、ニコラス・キャンピオンのいう「自分がマインドへの影響とつなげる瞬間」の一種なのかもしれません。もし、参加したいなぁと思われている方がいましたら、イギリス観光ついでに訪れてみてはいかがでしょうか?同じ興味を持つ人たちとの出会いは、まるで空で惑星同士がアスペクトを作るようなタイミングを生み出してくれるようなものだと思います。